「航海の映画と音楽」 

 
「土曜日の夜は映画で (Saturday Night At The Movies)」 第2話
 
「航海の映画と音楽」  (2008年4月 記)
 
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Master and Commander (2003)
 
 10年遅れで、映画『タイタニック』を観た。船が沈み出した頃に、子供と女性を先に救命ボートに乗せるシーンで、一等客を楽しませていた楽士たちが、デッキの上を右往左往する乗客が慌てたらいけないと室内楽団のように四重奏で演奏する。そして、最期が迫りパニックになっているときにリーダーらしき人が「もう誰も聞いてないだろうから、これで終わりにしよう」と言った後、メンバーに「君たちと演奏が出来て良かった」と言う。人間、死の間際にこんなことが言えるのだろうか。でも、音楽にはそう言わせるものがあるのかもしれない。

 そうなる前の航海中、無一文の絵描き(レオナルド・デカプリオ)がいる三等客室では、新天地を目指してのアイリッシュ移民が多いため、リールなどのダンス曲が喧騒とした雰囲気の中で演奏され、皆が踊る。そこに誘われた、上流社会育ちで未来にときめくものを感じられない娘(ケイト・ウンスレット)は「生きる」ことの楽しみの一つをここで知ることとなる。

 別の船の話だが、『マスター・アンド・コマンダー』も意外な音楽のシーンがあり面白かった。硬骨漢のキャプテン(ラッセル・クロウ)が、親友で船員の医師でもある生物学者(ポール・ベタニー)と、ヴァイオリンとチェロの落ち着いた二重奏をしたり、終盤では二人ともギターとベースを操るかのように指で弾いたりし、ちょっとした余裕や高揚をうまく表現していた。(ポール・ベタニーは映画の全編で、荒くれ船員たちの中にあり、繊細だが大胆さも兼ね備えたインテリを好演)この映画自体もナポレオン時代のイギリス海軍の「船での生活」の様が興味深く、私は気に入った。たとえば、船には鶏もいて、毎朝卵を産んだり、襲撃や嵐でダメージを受けた帆や船体を修理する大工がいたりと入った具合で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』がドンパチや冒険譚やマジカルなことに終始している(それはそれでいい)のに比べ、ディテールがよく描かれている。
 相変わらず、映画熱は収まるどころか、さらにのめり込んでいる。      …続く。
 
 
 
ーーーーKeep On Jukin’ーーーー

「土曜日の夜は映画で (Saturday Night At The Movies)」  第1話。
映画『デブラ・ウィンガーを探して』で想う

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