NICK WATERHOUSE 『TIME’S ALL GONE』

2012.4.27

キンキー・コメント(KINKY KOMMENT) File 1

NICK WATERHOUSE 『TIME’S ALL GONE』(Innovative Leisure IL-2005, 2012)

Side A
1. Say I Wanna Know
2. Some Place
3. Don’t You Forget It
4. I Can Only Give You Everything
5. Raina

Side B
1. (If) You Want Trouble
2. Indian Love Call
3. Is That Clear
4. Teardrops Will Follow You
5. Time’s All Gone Pt.1 & 2
(曲順はライナーにあるものにならい、A面、B面とした。CDなのにLPのような表記になっている。)

試聴はこちら。
http://www.allmusic.com/album/times-all-gone-mw0002317786
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NICK WATERHOUSE / Time’s All Gone (2012)

 陳腐な言い方をすると、新しいタイプのブルー・アイド・ソウル。しかも1950年代の響き、レイ・チャールズ<RAY CHARLES>の幻影。手法は新しくないのだが、思いっきりのいいクールさがある。伝統を継承しようというのでなく、先達から学んだ音楽のエッセンスを自己流に。そこが新しい。<A4>以外は、10曲中9曲(内2曲が共作)がニック・ウォーターハウスの自作。その<A4>はヴァン・モリソン<VAN MORRISON>がいたゼム<THEM>のパンキッシュな演奏で有名な曲だが、ほとんどそれと分からないぐらいの変容ぶり。全く自分の曲にしている。
 終始絡みつくナチュレルズ<NATURELLES>(ヒントはシュレルズ<SHIRELLES> か)と名付けられたトリオの女声コーラスも、熱いようでクール。このアルバムはニック・ウォーターハウスの個人名義だが、バックの演奏陣は、自己のバンドと思えるほど一体感がある。それは調和というのでなく、バンドの持つ呼吸感というもの。「せいのぉ~」といった感覚。だから、不思議なドライヴ感がある。
 特に4人からなるホーン・セクションが野太く、存在感があり、<A1>と<A2>にその特徴がよく出ている。ニック・ウォーターハウスはもちろんヴォーカルだが、ギターも弾いていて、<B1>のイントロのリフやコード弾き、さらに<B3>や<B5>の間奏でソロが聞けるが、決して技巧派ではない。
 写真で見る七三に分けた短髪の風貌とは異なる大胆さ、危うさ、エキセントリックさがある。それはバンドの演奏全体にもいえる事で、予定調和的なところが無く、一触即発的な気配さえある。

私のベスト・トラックは<A1>で、ヴォーカル、バンド・サウンド、すべてのぶっきらぼうさがいい。

 ここまでは音とジャケットのクレジットだけで判断したのだが、調べてみると、ニック・ウォーターハウスはアメリカ人との事。しかも、育ったのがロサンジェルスの南の海岸の町、ハッティングトン・ビーチ。ここは一度行った事があるがサーフィンとパンクが共存する町だった。音楽と見た目の印象からイギリス人と思っていたので意外だった。いわば、ネオ・モッズ的なと。それと、エイミー・ワインハウス<AMY WINEHOUSE>にも通じる、やや自己陶酔的で、スタイリッシュな雰囲気から。
 次回作に望むのは、今度は今の音楽性の延長でいいから、もっと「軽さ」を求めたい。もっと軽い「ふてぶてしさ」を。

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