「ふたりのシーズン (Time Of The Season)」

 
GROOVY TUNES 100 / 私の好きな曲(These are a few of my favorite songs)

#7「ふたりのシーズン (Time Of The Season)」

 これも、私が言うところのアンタッチャブルな一曲。それはゾンビーズ<ZOMBIES>の演奏が、最高のレベルにあるというのでなく、この時(1967年)、このメンバーじゃないと出来ない奇跡的な音楽のひらめきを感じさせるから、そう呼びたい。実際、この曲はカヴァーされる事がほとんどないし、これ以上のものになる気配が無い。魅力的な楽曲には、力強いとか正確無比だといった歌唱や演奏は必ずしも必要でない。
 
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ZOMBIES / Odessey and Oracle (1968)

 この「ふたりのシーズン (Time Of The Season)」(私は「恋するシーズン」と名付けたい、微妙に「恋する季節」ではない)は、弱々しいコリン・ブランストン<COLIN BLUNSTON>のリード・ヴォーカル、女々しいバック・コーラス、でも溌剌として歌いきる清々しさ。反面、全体に漂うのは哀愁と切なさ。こういった特徴は、ゾンビーズの他の曲、すなわち「She’s Not There」「Tell Her No」などにも共通するものだと言えるが、この曲はそれがひとつの極点にあると思う。

 何とも印象的なのが、ドラムスとベースだけのリフから始まり、続く大胆な「あぁー (Ahh)」のため息。奇をてらってない事は、その後が独創的かつ自然に展開する事で分かる。オルガンのアクセント、バック・ビートになるギターのカッティング、そして奇跡的な無二のハーモニー。この一連の動きは2巡目からバック・コーラスでのリスポンスがからみ、ロッド・アージェント<ROD ARGENT>の大人びた、洒脱でクールなオルガン・ソロの間奏(この時22才)になだれ込む。そして再び、リフ、ため息、メロディ、ハーモニーの繰り返しがあり、オルガンでの長めの終奏となる。ここでのアージェントのオルガンは、ワイルドさと熱気をもはらみ、間奏とはちがうムードを醸し出し、曲はフェイド・アウトして行く。
 淡々とした入り方から、次第に熱を帯びながら天上まで上り詰め、また同じ繰り返しをニュアンスを変えつつ展開して行くこの曲は、若さゆえの才気に満ち満ちている。そういった感覚は、この曲が収められたアルバム『オデッセイ&オラクル(ODESSEY & ORACLE)』(1968年、CBS)全体にも感じられる。このアルバムはトータル性も秀逸で、私にとっても魅力ある作品になっていて、聴くたびに何かしら新鮮な気分になれる。

 余談ながら1960年代中盤のイギリスの、いわゆるブリティッシュ・ビート・シーンは、多くの印象的なキーボード奏者を有していた。まずはアニマルズ<ANIMALS>のアラン・プライス<ALAN PRICE>(「朝日のあたる家 (House Of The Rising Sun) は最高!」、マンフレッド・マン<MANFRED MANN>のマンフレッド・マン(リーダーの名前がグループ名)、スペンサー・デイヴィス・グループ<SPENCER DAVIS GROUP>のスティーヴ・ウィンウッド<STEVE WINWOOD>(早熟、16才でデビュー)、デイヴ・クラーク・ファイヴ<DAVE CLARK FIVE>のマイク・スミス<MIKE SMITH>、スモール・フェイセス<SMALL FACES>のイアン・マクレガン<IAN McLAGAN>、他にもズート・マニー<ZOOT MONEY>やジョージー・フェイム<GEORGIE FAME>、さらには後のプロコル・ハルム<PROCOL HARUM>のマシュー・フィッシャー<MATTHEW FISHER>(「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」!)やアートウッズ<ARTWOODS>~ディープ・パープル<DEEP PURPLE>のジョン・ロード<JOHN LORD>などと枚挙にいとまが無い。1960年代のロックはギターに脚光が浴びる事が多いが、キーボード(オルガンと言ってもいい)も重要な役割を果たしていた。ソロ・パートのためだけでなく、何よりも全体のサウンドの上で。

 ここで正直な話をすると、ゾンビーズで「ふたりのシーズン」に劣らず、気に入っている曲が「Leave Me Be」で、私のセンチメンタル・メーターの針は大きく振れる。それはビートルズでいうと「恋する二人(I Should Have Known Better」)に抱く感情に近い。この話はいずれまた。
 
 
 
2013.6.19
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